ここ数年、毎年9万人以上の男性が前立腺癌と診断され、男性が罹患する癌の中では第1位となっています(第2位は胃癌)。当科でも、毎年70人以上の前立腺癌が見つかっています。一方で、<でも、前立腺癌って治るんでしょ?>という声も、しばしば聞かれます。確かに早期であれば手術や放射線で根治は可能であり、場合によっては治療を開始せずに経過をみることもあります。また、仮に癌細胞が前立腺の外に出てしまっていても、すぐに生命に関わることはありません。しかし、残念ながら年間12,000人以上の方が亡くなっているのも事実なのです。
では、どうしたら前立腺癌を見つけることができるのでしょう?実は、血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を測れば発見は可能なのです。逆に言うとPSAを測らなければ、見つけることはできません。現在、全国の80%以上の自治体では前立腺癌検診(PSA検査)が行われていますので、そこに住んでいる方は忘れずに毎年受けていただければ大丈夫です(いなべ市、東員町など)。一方で、前立腺癌検診が行われていない地区に住んでいる場合では、ご自分で人間ドックを受けて測っていただくか、かかりつけ医あるいは泌尿器科医に相談するしかありません。私たちが住んでいる桑名市はどうでしょう?残念なことに、桑名市は前立腺癌検診が行われていない20%に含まれています。現在でも驚くほど進行した前立腺癌が見つかっているのが現状です。これを読まれている50歳以上の男性、あるいはご家族にそのような方がお見えになる場合は、ぜひ一度PSAを測っていただき、もし基準値以上(≧4.0ng/ml)であれば、必ず泌尿器科を受診して下さい。(筆者56歳、PSA値1.7ng/ml)